0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
標的はチーター
今回の依頼主:とあるFPSゲーム運営会社
依頼内容:自社ゲーム内に蔓延るチーターのゲーム内キル
報酬:チーターキル数に応じて
支払方法:動画への投げ銭
仕事の結果を依頼主に動画で報告する為に、天才殺し屋は動画投稿者になった。
「ぁい乙ぅ~。エイムカスぅー」
男は下品な笑いを浮かべてキル数を増やす。
全弾命中。が、それだけの腕前に似合わず男の被弾数もかなりのもの。
その理由は『オートエイム』自動で狙いを定めるというシューティングの9割を否定したチートだ。
「ぅい~、俺最強!
あ、見っけ俺のキル!」
笑いながら次の相手を見つけた。
視線の100m先には鉄筋コンクリート造の建物群。事実、そこにはプレイヤーが潜んでいる。が、皆建物内で潜伏しており外から見える筈がない。
『ウォールハック』隠れた相手の動きを文字通り見透かす事が出来るチート。待ち伏せ不意打ちという戦略的要素に唾を吐いている。
「見え見えじゃん、ウケるwww」
己の力でもない、下衆非道、楽しい遊び場に汚物を撒き散らすが如き行為。勝っているのは妥当当然。
男はそれでも自身の虚栄心を満たすためにその禁忌を使い続けている。
「ぇいキルキルキルぅ~!クソザコばっかw」
警戒心も無く建物に入り込み、壁や扉の向こうに潜むプレイヤーを見もせずに引き金を引き撃ち抜く。
増えるキル数。
「俺サイキョーwプロじゃね?マジプロwwwwww」
コンクリートの箱の中に下品な笑いが木霊する。それを聞いている者が居ない事はウォールハックで確認済みである。
「そう、これがプロとは間抜けね。」
男の耳に冷たい女の嘲笑が聞こえた気がした。次の瞬間、建物のあちこちで爆音が響き、建物が崩れ落ち、男も崩れ落ちた。
「このゲームはリアル追及の為に爆発物を使って建築物を破壊出来るの。
予め爆発物を主要な柱にセット。超長距離からそれを狙撃して爆発。あとは誘爆させればそれで御仕舞。
暗視やサーモといったセンサーの類なんて真っ先に警戒するものよ、覚えておきなさい坊や。」
冷酷な女の言葉が視聴者に聞こえ、沸き上がった、
これが、安置外連続5連チーター狙撃・ナイフミサイルキル・跳弾ピンボール・チート集団鏖殺事件・背中合わせプロゲーマーといった伝説を後に生み出すチーターキラーのゲーム実況者、『アサ氏(チーターぶっ飛ばすウーマン)』の伝説の始まりであった。
最初のコメントを投稿しよう!