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「っ、なんなのよ、これ……」
『デビューが決まったら、サクラにプロポーズしようって、ずっと思ってた。三年前、クリスマスの日から俺たち、始まったでしょ? だから、今夜にしようって決めてた。サクラ、待たせてごめんね、俺と結婚、』
「するわけないでしょーが‼ 浮気しておいて、その帰りによくそんなこと言えるね、バカなの? いや、バカでしょ‼」
プロポーズの言葉を途中で遮って、思いのたけをぶちまけた。
『え? 浮気⁉ 俺が?』
「今日、一緒に歩いてた」
『はー⁉ あれ、姪っ子‼ ねーちゃん夫婦も一緒にいたし。今日は日帰りだったけど、今度はゆっくりサクラにも会いに来るねって。つうかさ? 今朝、サクラに言って出たはずだけど?』
ん? 今朝?
『今日、秋田から、ねーちゃん来るって。夕方まで出かけるけど夜には戻るからね』
あれ?
なんか、夢の中で言われた、ような、あれ?
――今、姉ちゃんたち新幹線に載せたよ。これから戻るね。
年の離れたお姉さんが秋田に嫁いでいると聞いたことがある。
高校生になる姪っ子ちゃんがいるとか、言っていたような。
ふと、今日の光景を思い返したら、確かに拓海と姪っ子ちゃんの後ろに、ご夫婦らしき男女もいた、気がす、る……。
つまりは、全て私の勘違い⁉ あれえ!?
『サクラ?』
「うん……」
『今から、返事、聞きに帰るね?』
「ん……、ううん、そこにいて、私が行くから」
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