47人が本棚に入れています
本棚に追加
「涙、さきまわり」
生きてりゃ思いもよらねえことって起きたりするよな。
さすがに今回ばっかは俺も普通に驚いたんだけど。
まさかねえだろ、って思ってたんだよ。
だってこいつは、いつだって合コンだのナンパだの周りと一緒になって騒いでて、女が出来たら楽しそうで、それなりに幸せそうに俺にいらねえことばっか喋って来て。
そんなやつだったから。
まさかと思うじゃん。
そんなわけねえって思うじゃん。
朔也、元々お前頭悪いけど、本当に頭おかしくなったってことなんじゃねーの?
「いやいやいや、違うんだって、マジで聞けよ」
「聞いてるけど…」
「本気の本気で、俺、おまえのこと好きって気づいてさ」
「それが頭おかしいんじゃねえのって話で」
「俺だってビックリしたんだけど」
どう考えても信じらんねえんだけど、朔也は本気だってことを俺になんとか伝えようと、吸っていた煙草を地面に押し付けて消すと、今度は身振り手振りも加えて忙しなく話しを続ける。
っつーか、その話は、こんな夕暮れ時に公園で煙草吸いながら話すような内容の話なわけ?
「それって、俺が応えたらどうなんの?」
「え。どうって。嬉しいじゃん、俺が」
「俺は?」
「琉生は嬉しくねえの?」
「俺の気持ち言ってねえんだけど」
「琉生は、だって俺のこと好きじゃん」
何こいつ。
なんでこんな自信まんまんなわけ。
どういう経緯、出来事に、何を感じて、むしろ勘違いして、俺がおまえのことを恋愛的な意味で好きって結果を導き出したわけ。
…なんでバレてんの、ってのが先だけど。
最初のコメントを投稿しよう!