席替えなのです

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席替えなのです

 と、思いましたら、次の日、学校へ来てみると、なんだか教室が騒がしいのです。   そういえば、今日は席替えをすることになっていたのです。登校したらくじを引いて、新しい席につくのです。  私は、お隣だったゼブラス様とは離れた席になってしまいましたので、お礼を言いづらくなったのです。困りましたね。  ところが、なんとフロラス様が、私のふたつほど前の席になり近くなったのです。これは、ヴィオレーヌ様に頼まれたことを、やりやすくなったのです。 そしてさらになんと、フロラス様のお隣は、イアロフェン様なのです。おふたりはよく楽しくお話しされているようで、またちょっとチェシー様たちのことが心配ではありますね。    さて、お昼を告げるチャイムが鳴りました。  フロレス様は、お弁当と思われる袋を持って立ち上がったのです。私はすかさず後を追いました。 「あのっ、フロラス様…」  フロラス様は私の声にで、こちらを振り向きました。 「あの、よろしかったら、今度でいいので、お昼を外でご一緒しませんか? 」  突然の誘いに、フロラス様は、きょとんとしているのです。それはそうですよね…。 「ええ…、いいですけど…。すみませんが、どなたでしたでしょうか? 」  えっ…。たしか前にもテラスで話して、名乗ったはずでしたのに…、忘れられてる? さすが影の薄い私ならでは、なのです…。 「あ、あの、私、同じクラスの、ルビセル・ラズリと申します。確か、以前にもランチテラスでお話ししたのですけど…? 」 「…あ、そういえば、そうでしたね。ごめんなさい。えーと、それで、私に何か? 」 「あのですね、今度一緒に、外でランチを召し上がりませんか? 私もいつも、フロレス様と同じお弁当ですので」 「…ああ、ええまあ、いいですよ」 「まあ、よかった。では、明日はいかが? それで私のお友達もひとり、ご一緒させていただいていいでしょうか?」 「あ、はい。ひとりくらいなら…」 「ありがとうございます。では明日」  ああ、よかった。ヴィオレーヌ様にもあとでお知らせしないとなのです。とりあえず、お昼を食べてしまいましょう。 「イアロ、最近どうなんだ? フロラス嬢のことは」  ある日のお昼休み、学年のサロンでお茶を飲みながら、ゼブラス様はイアロフェン様にお聞きになったのです。 「ああ、ヴィオレーヌに、フロラス嬢のことを気にかけてやってくれと頼んでみたよ」 「そうか。ステアが言ってた歓迎パーティーでのことは、けっこう大変だったみたいだしな」 「僕が、なんだって? 」 「ステア。今日はもういいのか? 」 「ああ。喉が渇いた。すまないが、お茶を一杯」  ステア様はサロンの執事に申しつけたのです。 「歓迎パーティーでのフロラス嬢のことだよ。ステアが教えてくれたから、ヴィオレーヌと話をしてみたんだ」 「ああ、あの時の…」  するとステア様は、ちょっと面白そうに微笑まれたのです。 「どうした、ステア? 」 「いや、なんでもない。ちょっと思い出して」 「何を?」 「いや、いいんだ。それでフロラス嬢のことは? 」 「ああ、今度ヴィオレーヌが、フロラス嬢と昼食を一緒にとってくれるそうだ。ふたりが一緒にいるような仲だとなれば、周りの態度も変わるんじゃないかな」 「そうか。うまくいくといいな」
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