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キャラメル作り②
「ロズベル様と、ジェデイド様は、仲がよろしいのね…? 」
ふたりが行ってしまうと、ヴィオレーヌ様がお聞きになりました。
「はあ、そうみたいなのです。ロズベル姉さまは、前にジェデイド様から、参考書をいただいたこともあるとか」
「そう、さすが、おふたりとも学年でトップを争うだけはあるわね」
「あ、そうなのですか? 」
「ルビーったら、知らないの? 」
「私も聞いたことある。優秀なシュナードとラズリの話は」
「フロレス様もご存知なのね。ルビーはロズベル様に、勉強を教えてもらったりしないの? 」
「いえ、まったくそのようなことはないのです。先日ちょっと姉さまに、問題の解き方をお聞きしましたが、1年のときのことなど忘れたとおっしゃってました」
「まあ、そうなの? あのふたりには、学園の先生方も、国としても注目しているらしいのよ。優秀な人材としてね」
「ヴィオレーヌ様はジェデイド様と、仲がいいんですね」
「えっ、何を仰るの! フロラス様」
「だって、さっきの様子を見てたら、そんな感じがしました」
そうですよね。私もそう思ったのです。
「…小さなころはね、仲よくしていただいたわ。私の母が、ジェデイド様のお母様と親戚だったこともあって。でも大きくなるにつれて、そうね、私がイアロフェン様の婚約者候補と言われるようになった頃から、だんだん会わないことが多くなって…」
「…ヴィオレーヌ様、ジェデイド様に、キャラメルをあげたらどうですか? 」
フロラス様が、いきなりな発言をしたのです。
「ええ! ど、どうしてですの? 」
「だって…、なんかジェデイド様も、喜びそう」
うんうん、私もそう感じるのです。
「え…そんな…。あ、そういえばルビー、そろそろキャラメル、固まったのではないかしら? 」
「あ、そうですね。キッチンへ行ってみましょう」
キッチンへ行くと、隣のスタッフルームで控えていたボルツが、固まったキャラメルを切る用意をしておいてくれたのです。
「わあ。固まってる」
「本当ですわね。切るのが楽しみですわ」
「切る時は、お湯でナイフを温めると、切りやすくなるのです」
「あ、ほんとだ」
キャラメルたちがどんどん切り分けられていきます。切り分けたらペーパーでひとつひとつ包んでいくのです。
「なんだか可愛いわ」
「ほんと」
「種類の違いが分かるように、包み方を変えてみましょうか」
「包み紙も違うものを用意しておくといいわね」
こんな風に3人できゃいきゃいできるのって、楽しいのです。
「できましたわね」
「できたね」
作ったキャラメルを全部、切って包んで出来上がったのです。
「さっきのお茶もまだ片づけてないし、せっかくだから外で皆で食べない? 」
「いいですわね」
「あ、ちょっと待ってください。失礼いたしますね」
私は皆さんが作ったキャラメルを、種類ごとにおひとつずつお皿に取り分けました。
「これ、今日のお礼なのです。時間外手当はまた改めてお渡ししますね」
とボルツに差し出しました。
「とんでもない。お嬢様方のお手伝いができたことと、このキャラメルで、じゅうぶんですよ」
ボルツはにこやかに、そう答えてくれたのです。
というわけで、再び庭に出て、お互いのキャラメルを食べ比べてみたのです。
「ちょっと固さが違ったりするみたい」
「そうですわね。作る人にもよるのですね」
「出来たみたいね」
そこへ、ロズベル姉さまとジェデイド様がいらっしゃいました。
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