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「あ、そうだ。忘れそーだから」
今渡そう、プレゼント。
綺麗な大きいツリーの前で、なんてシチュエーション的にはバッチリじゃね?
オレはバッグから桐人へのプレゼントを出して、はい、と渡した。
「わ、マジで?サンキュー、知希」
「え、あの、そんな大したもんじゃねんだけど…」
そんな嬉しそうな顔されるとビビる。
桐人がオレを見てくすっと笑った。
「あのな、知希。お前が俺のために選んでくれたって時点で俺にはすごいことなわけ。分かってる?」
諭すように言う桐人を上目に見ると、桐人は「しょうがないなあ」みたいな顔でオレを見ていた。
「中見たい。開けていい?」
「うん」
ツリーの真ん前じゃ邪魔になるからってことで、広場の隅の壁のところに移動した。桐人が大きな手で器用に包装紙を開けていく。
「お、メガネケースか。いいな。カッケーじゃん。ほんとサンキュ、知希」
満面の笑みで言われて、照れくさくて嬉しい。
えへへって笑いながら見上げたら、頬にかすめるようなキスをされた。
思わず周りを見回すと「余計怪しいぞ」って桐人に笑われた。
それから桐人は丁寧に包装紙を畳んで、メガネケースを箱に戻して大事そうにバッグに入れた。
「ありがとな、知希。大切にする」
じっと目を見ながら言われて、胸がきゅんとしてしまった。
うれしい
「俺の方のプレゼントなんだけどさ」
そう言いながら、桐人がオレの肩に腕を回す。
「…ペアリング、買わない?」
「え?!」
びっくりして見上げた桐人の目元が、ほんのり赤い。
「あ、もちろん知希が嫌なら別のでいいけど…」
「ううんっ」
嫌なわけがない。
てゆーか、恋人に「ペアリング買おう」って言われて嫌な人なんかいるの?
「欲しい。あ、でもオレそんなに金持って来てないけど」
ペアリングって贈り合うもの、だよな?
「それは大丈夫、俺が払う」
「え、でも…」
と言ったオレの両頬を、桐人が片手で下からふにっと掴んだ。
「このために働いたんだから払わせろ」
「あ…」
桐人のお父さんの会社の手伝い。
「ほんとはさ、今日までに買って渡せたら格好よかったんだろうけど、サイズとかデザインとか分かんねぇし」
そう、眉を歪めて言う桐人が、ちょっとかわいい。
「ううん、そんなの全然。一緒に選べんの嬉しいし」
「そう言ってもらえると助かる」
ぐっと肩を抱き寄せられて、どくんと胸が鳴った。
店は調べてあるから、と言う桐人に連れられてショップに向かう。
嬉しくて、楽しくて、幸せ
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