行ってみっか

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 だけど、もう私は彼女に対して好意的な感情を持っていない。何かあったわけではないけれど、彼女に対して心に距離が出来てしまったのだ。会うことを面倒くさいとさえ思っている。  そんな私が送る祝福の言葉に何の価値があるのか。  どうして私はこれほど人に対して冷めているのだろう。理沙に限らず、学生時代を共に過ごした友人のことは、今ではどうでもいい。  私はただでさえ交友関係が狭い。それなのに、数少ない旧友との関係が途切れても寂しさすら感じない。  薄情なのだと思う。でも、どうしても心が動かないのだ。  シロ先輩は、彼女たちのことを、私にとって必要のなくなった縁なのだと言った。私のストレスになるのなら、繋がる意味はないと。  けれど、本当にそうなのだろうか?  私は、離れる素振りをみせて、彼女たちに、周りの人たちに甘えているだけなのではないだろうか? 離れそうになる私を誰かが引き留めてくれるのではないかと期待をする、ただ構ってほしい子供なのではないか。  私はそんなことをずっと考え続けていた。 「……クロ? おい、聞いてるか?」  不意にシロ先輩の声が耳に届きハッとする。いつの間にか思考の海に沈んでいた私は、慌てて意識を引き戻す。心配そうな顔をしたシロ先輩がこちらを見ていた。  ぼんやりしていて、先輩の話を聞いてなかった。慌てて謝る。 「ごめんなさい。ちょっとぼーっとしてました」 「大丈夫か?」 「ええ。少し寝不足気味かもしれません」  笑って誤魔化す。 「疲れてるんじゃないのか?」 「いえ、大丈夫です」 「お前、最近ちゃんと寝てないだろ?」 「え? そんなことないです。昨日だって……」 「嘘つけ」  シロ先輩が呆れた声を出す。 「……なんで分かるんですか?」 「見ればわかる」 「……」  シロ先輩は、私をじっと見つめたまま続ける。 「クロは、自分で思ってるほどポーカーフェイス上手くないぞ」 「う〜ん。そうでしょうか?」 「ああ。特に最近は分かりやすい。何があった?」  私は、苦笑する。付き合いがそれなりに長くなってきたせいか、シロ先輩は、私の変化によく気付く。シロ先輩がじっと私を見てくる。隠し事が出来ないのは、きっとシロ先輩が相手だからだ。  観念して話すことにする。私は、シロ先輩に最近の自分の悩みを打ち明けることにした。  シロ先輩は、時々相槌を入れながら静かに聞いていた。話し終えると、シロ先輩は少し考える仕草をした。 「俺が余計なこと言ったかな」  シロ先輩の言葉に私は驚く。
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