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プラレタリウムのプロジェクターが、部屋中を蒼い光で埋め尽くしていた。
「思い出すね。清里! 綺麗だった・・・」
「あ〜綺麗だったな」
「もう一度行きたいな!」
「行こう! また一緒にな!」
同時に横を向くと、鼻先がくっ付いてしまうのかと思う程の位置に顔があった。
梨花は、翔太の目をジッと見つめ、ソット目を閉じだ。
翔太は嬉しかったが、恐る恐る梨花の様子を伺いながら優しく唇を重ねた。
そして、翔太の腕が梨花の肩を抱こうとしたとき
「ストップ! そこまで!」
「え〜え? そんな〜・・・嫌がることはしないっていう約束だからな仕方ないけどなぁ・・・」
梨花はムクッと起き上がり
「翔太が嫌だとかじゃないのよ。初めてがラブホっていうのがなぁ〜・・・なんとなく軽く思われていそうで嫌なの」
「初めて?」
梨花は、慌てて手で口を覆いながらも頷いた。
翔太は嬉しそうな顔をして
「ラブホの前で足蹴りしても入らなかったんだもんな?」
「えっ? なんでそれを知ってるの?」
「加藤って会社の同期で、梨花をよく知っているやつから梨花のことを聞いた」
それから、電話をかけたがハルを『母さん』と呼ぶ男に何も聞けなくなり、電話を直ぐ切ったことや、駅で見かけたが小さな子供とバイバイしているところを見て、結婚していると思い込み、迎えにいけなくなったことなど、今でのことをゆっくり話した。
梨花は、呆れた顔をして一言
「バッカじゃない!」
翔太は面目なさそうに、そっと紙袋から用意していた黄色のバラの花束を出し
「遅くなってゴメン! これで許してくれ!」
「はぁ? これで私の7年をチャラにするの? 後でいっぱい文句言うからね! 覚悟しておいて! でも、黄色いバラの花束が欲しいって、覚えていてくれたんだ」
文句を言いながらも嬉しそうに花束を受け取った。
ここからいい感じになりそうだと思った時、❨♪♪♪猫踏んじゃった♪ 猫ふんじゃった♪) の音楽が何処からか聞こえてきた。
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