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梨花が、トントンと階段を駆け上がると、ガリガリお茶の間の扉を引っ掻く音がした。
梨花が扉を開けると、丸々太った猫のコマが、キョトンとした顔をして翔太を見ていた。
「コマ? デブになったなぁ! イヤ! 大きくなった!」
その声を聞いたコマは、翔太たと分かったのか
「ニャ~ン!」と返事をして翔太の足をカリカリして摺りより、抱っこをおねだりした。
コマを抱いてテ―ブルに座ると、二人?で逢えなかった時間を埋めるようにしつこく舐めあっている? コマはゴロゴロ喉を鳴らし嬉しそうだ。コマも待っていたんだね。
翔太が拾ったコマも今は10才。長い月日が経っていた。
夕飯のロ―ルキャベツを頬張りながら、梨花はハルに
「翔太が電話したときに、『母さん』って呼んだ人が居たんだって! 分かる? 誰だろう?」
「いつ頃のこと?」
「大学4年、梨花が北海道へ来た後だった。ここへ電話したんだ」
「あっ! 源さんの息子の晃かも」
翔太は
「晃? 知らないなぁ。源さんの息子って、徹さんじゃなかったっけ?」
「それは、長男で次男坊はアメリカで建築の勉強して帰ってきて、今はこっちの会社で働いてるの。母親を病気で亡くしてから、私のこと『母さん』って呼ぶようになったのよ。そうかぁ・・・翔太とはちょうど入れ違いかもね」
「俺、梨花に恋人が出来たのかと思って」
「もう! 翔太って勘違いばかりして、こんなに時間かかったんだよ! まったく!」
ハルは微笑みながら
「神様のいたずらかな? それとも試されたのかな? 時間が経っても変わらない想いだって分かれば、想いも真実だったってことじゃないかな」
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