懐かしい向日葵へ

2/2
前へ
/24ページ
次へ
梨花が、トントンと階段を駆け上がると、ガリガリお茶の間の扉を引っ掻く音がした。 梨花が扉を開けると、丸々太った猫のコマが、キョトンとした顔をして翔太を見ていた。 「コマ? デブになったなぁ! イヤ! 大きくなった!」 その声を聞いたコマは、翔太たと分かったのか 「ニャ~ン!」と返事をして翔太の足をカリカリして摺りより、抱っこをおねだりした。 コマを抱いてテ―ブルに座ると、二人?で逢えなかった時間を埋めるようにしつこく舐めあっている? コマはゴロゴロ喉を鳴らし嬉しそうだ。コマも待っていたんだね。 翔太が拾ったコマも今は10才。長い月日が経っていた。 夕飯のロ―ルキャベツを頬張りながら、梨花はハルに 「翔太が電話したときに、『母さん』って呼んだ人が居たんだって! 分かる?  誰だろう?」 「いつ頃のこと?」 「大学4年、梨花が北海道へ来た後だった。ここへ電話したんだ」 「あっ! 源さんの息子の(あきら)かも」 翔太は 「晃? 知らないなぁ。源さんの息子って、(とおる)さんじゃなかったっけ?」 「それは、長男で次男坊はアメリカで建築の勉強して帰ってきて、今はこっちの会社で働いてるの。母親を病気で亡くしてから、私のこと『母さん』って呼ぶようになったのよ。そうかぁ・・・翔太とはちょうど入れ違いかもね」 「俺、梨花に恋人が出来たのかと思って」 「もう! 翔太って勘違いばかりして、こんなに時間かかったんだよ! まったく!」 ハルは微笑みながら 「神様のいたずらかな? それとも試されたのかな? 時間が経っても変わらない想いだって分かれば、想いも真実だったってことじゃないかな」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加