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プロポーズ
夕飯を食べ終わり、翔太の手土産のゴディバのチョコレートを頰張っていた梨花は
「翔太から貰ったバラ、私の部屋に飾って来る」
と言って、部屋を出た。
片付けをしながらハルは
「翔太? 今はどこに住んでいるの?」
「代々木。会社が新宿だから住まいはその近くにした。実家は俺が北海道へ行くと同時に、多摩に家を建てて引っ越したから」
「そう、それで何処にも連絡がつかなくなったんだ。梨花はアッチコッチに連絡してまわってたのよ。あの子なりに必死になって・・・」
「ごめんなさい。俺、告ったのに拒否されたから、もうダメだと思っちゃって・・・高校時代を俺の記憶から全部消したくて・・・」
「でも、良かった! 再会出来て、私も一安心よ。これからはまた元通り仲良くしてやってね。あっ! 電車の時間は大丈夫?」
翔太は言いにくそうに
「あのぉ〜、俺、今日、ここへ泊まりたい」
「へっ? 泊まる?」
「泊まるって言うか、今日やっと会えた梨花と離れなくない! だから・・・」
寛いでいた膝を正し、頭を下げ
「泊まるからには責任を取ります。いえ、正式に梨花と結婚させてください。もう離れたりしません。ここに俺を置いてください。お願いします」
「えっ? プロポーズ? それを梨花にはもう言ったの? 私はいいけど」
「いや! まだ梨花には言っていません。これから言おうと思っています」
「ちょっと、翔太! それは」
ハルが言いかけたとき、バタンと大きな音をたてて扉が開いた。
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