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第一章 ポトフの良い香りに誘われて
わたしのお腹はペコペコだった。
「お腹が空いたよ~」と叫んだのとほぼ同時にぐぅーぐぅーきゅるるるーとお腹の音が鳴った。これはちょっと恥ずかしい音だ。わたしは、周囲に人がいないか確認する。
幸い誰もいなかったのでほっと胸を撫で下ろす。わたしは、ペコペコのお腹を両手で押さえながらトボトボ歩く。
冷たい風がわたしの頬を刺す。風に落ち葉が舞い紅葉の季節に終わりを告げ冬の気配を感じ寒さが身に染みる。
もう冬なんだよねと思うとわたしの心はより沈む。寒い季節は苦手だ。
なんだか最近ついてない。もう嫌になるなとお腹を押さえ歩き続けると、ほわほわほわほわと風に乗り優しい香りが漂ってきた。
「美味しそうな匂いだ。食べたい!」
なんてわたしは思わず声を上げてしまった。
この良い香りは何処から漂ってきているのだろうか。わたしは、ほわほわとした良い香りに導かれるかのように歩いた。
この香りは……。
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