第二章 手紙

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目の前に座ってアップルティーを飲んでいるお母さんは本当の母親ではない。お父さんが再婚してわたしのお母さんになった。だけど、本当の娘のように愛してくれている。 「未央ちゃんも二十六歳になったのよね」 「うん、いつの間にやら……」 「わたしと初めて会った時はまだ、小学三年生だったのものね。時が経つのは早いわ」 お母さんは感慨深げに言った。 「うん、あっという間だね……」 丸顔でふんわりした雰囲気で優しそうな女性を見たその瞬間、この人がわたしのお母さんになるんだと思った。 わたしにお母さんという存在ができるんだ。この人だったらお母さんと呼べそうだ。『未央ちゃんよろしくね』とにっこり笑いながら挨拶をする女性を見つめながらそんなことを考えた。 そして、思った通り優しくてすぐにお母さんと呼ぶことが出来た。
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