第二章 手紙

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テーブルの上に置かれているメニューに手を伸ばしお母さんは、ぱらぱらとめくった。 「うふふ、美味しそうな料理の写真が並んでいるわね。どれもこれも美味しそうで目移りするわ」 お母さんはメニュー表に目を落としそれはもうワクワクした表情になっている。 「さやさんの料理はどれもこれも美味しいんだよ」 わたしは思わず自分が作るかのように答えた。 「あら、お二人ともありがとうございます。では、ご注文がお決まりになりましたら呼んでくださいね」 さやさんは美しいスマイルを浮かべ厨房に戻る。 そんなさやさんのスッと背筋が伸びた綺麗な後ろ姿をわたしはじっと見つめた。お母さんも見ていたようで、「さやさんは後ろ姿も美しいのね」と言って微笑みを浮かべた。 そして、視線をメニュー表に戻し「う~ん、やっぱり全部食べたいくらい美味しそうで迷うわね」とメニューをじっと眺める。 わたしもメニューを眺めるのだけど、何回見ても迷ってしまう。さやさんも料理も本当に魅力的だったのだ。
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