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「美味しいわ。未央ちゃんが言うようにほっぺたが落っこちそうだわ」
お母さんがフォークでナポリタンパスタをくるくると巻き取り口に運ぶ。
その表情は本当に美味しくてたまらないといった感じだった。
「やっぱりさやさんのナポリタンパスタは美味しいよね」とわたしは言った。
黒コーデの女性のことが気になるもののわたしもカレーライスをスプーンですくう。
口に運ぶとまろやかなバターと牛乳が加わったコクのあるクリーミーなカレーだった。鶏肉もジューシーで最高だ。
「うん、カレーライスも美味しいよ」
わたしもさやさん特製のカレーライスに満面の笑みを浮かべた。美味しいものを食べているこの瞬間は嫌なことが忘れられる。
「うふふ、カレーも食べたくなるわね」
お母さんがわたしのカレー皿をじっと見た。
「一口食べる?」
「あら、いいの?」
「どうぞ」
「では、遠慮なく頂くね」
お母さんは、カトラリーケースからスプーンを取り出しわたしのお皿に盛り付けてあるカレーを右端からすくう。
そして、口に運ぶ。
「まあ、まろやかでコクのあるカレーね」
お母さん笑顔をこぼす。
「わたしのナポリタンパスタも一口食べる?」とお母さんが言ったその時。
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