第二章 手紙

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「ねえ、未央ちゃんナポリタンパスタは食べないの?」 悶々と考えているわたしにお母さんが言った。 「あ、うん。食べるよ」 わたしはなんとか笑顔を作りカトラリーケースからフォークを取り出した。それでナポリタンパスタをくるくる巻き取り口に運ぶ。 すると、懐かしくて濃厚なトマトケチャップの味が口いっぱいに広がる。 「うわぁ~ナポリタンパスタも懐かしくて美味しい味付けだね」 「未央ちゃんはナポリタンパスタも カレーライスも昔から好きだものね」 「うん、さやさんのナポリタンパスタとカレーライスを食べていると、お母さんが作ってくれたものを思い出したよ。ものすごく美味しかったな~」 なんだか懐かしくて心がぽかぽかしてきた。目の前のお母さんもニコニコ笑っている。そんな穏やかな空気の中に不穏な空気入り交じる。 この異様な空気は……。 異様な空気がどんどん近づいてくる。その空気の正体は……。見たくもないけれど、顔を上げると。ゾクッとした。
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