第二章 手紙

110/123
前へ
/177ページ
次へ
「え? わたしうなされていた……」 「ええ、悪夢でも見ていたのかしら? 揺り起こそうかと思ったんだけどね。またすぐに寝息を立ててスヤスヤと眠ったから大丈夫かなと思ったのよ」 お母さんはちょっと心配そうな表情でわたしを見つめる。 「えっと、どんな夢を見ていたか覚えていないよ……」 本当は子守り歌が流れてくる夢を見ていたと言いたい。けれど、お母さんに心配をかけたくないなと思ってしまう。 「そうなのね。ただ、心配だわ。未央ちゃんストレスが溜まっているんじゃない。もし、何か心配事があるんだったらお母さんに話してね」 お母さんの声は優しくて包み込んでくれるような声で話してしまいたいと思うのになぜだかそれが出来ない。 「お母さん、ありがとう。わたしは大丈夫だよ」 「本当に大丈夫? それなら良かったわ。でもね、お母さんは未央ちゃんのことを大切な娘だと思っているのよ。もし、辛いこととかあったらいつでも話すのよ」 お母さんはそう言ってわたしを優しい眼差しでじっと見つめた。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加