プロローグ

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さて、みなさんに召し上がっていただくための食材を仕入れに行かなくてはね。 わたしはもう一度全身鏡の前に立ちにっこりと微笑みを浮かべる。 上下黒色のスカートスーツに赤リップがわたしのトレードマークだったけれど、今年から上下紫色のスカートスーツに赤リップをたっぷり唇に塗るさやさんに変更したのよ。 うふふ、わたしはなんでも着こなすんだものね。 え? 何ですって! ど派手と言いましたか? そんなことを言うあなたはこのわたしが地獄の底に突き落としてあげるわ。 なんて鏡に向かって話している場合ではないわ。お腹を空かしたお客様が待っているのだから。 わたしは、財布を片手にカフェのドアを開けた。外の空気はひんやりしていた。冷たい北風がわたしの頬を刺し冬を感じる。 この寒くなってきた季節にコトコト煮込んだ美味しい具沢山ポトフなんていかがかしら。なんて考えながら歩いていたその時、わたしの足の先が何かに突っかかり転びそうになった。 「きゃ~!!」 わたしは、びっくりして叫んでしまった。このわたしが転んでしまうではないか。 もうダメ転けると思ったその時、 「大丈夫ですか?」と男性の声がした。すっと手を伸ばし男性がわたしの体を支えて助けてくれた。その手は男性にしては指が細くて長い綺麗な手だった。
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