プロローグ

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わたし森口さやはどうしてこんなところにいるのだろうか。わたしはポトフの材料を仕入れに行く予定だったはずなのに。 目の前にふわふわ~と湯気の立つジャスミンティーとホットドッグが置かれた。 「森城カフェ自慢のホットドッグセットでございます。僕は店長の森城氷太(もりしろひょうた)と申します。二日前に新オープンしました。どうぞご贔屓にしてくださいね」 男性こと森城氷太は柔らかい笑みを浮かべた。 「あら、そうなんですね。と~っても美味しそうなホットドッグですね。ジャスミンティーも良い香りがしますね。わたしは、さやカフェのオーナーの森口さやです」 わたしは心の中でふざけるなと思いながらとびっきり美しいさやスマイルを浮かべた。 「さやさん、では、ごゆっくりお召し上がりください」 森城氷太はニヤリと笑いキッチンに戻る。 木の温もりを感じる店内は、二人掛けのテーブルが四つと四人掛けのテーブルが四つあり、カウンター席は八つある。 わたしは、気がつくと森城カフェの二人掛けのテーブル席に腰を下ろしていたのだ。 このわたしとしたことが森城カフェに惹き込まれるように入ってしまうなんて馬鹿みたいだ。なんだかほっと癒される空間だと感じてしまいそれもまた悔しい。 わたしは、口を大きく開けホットドッグにかぶりつく。ウインナーのパリッとした食感もたまらない。美味しくてそれもまた頭にくるのだった。 その時、隣の席に座っている女性の話し声が聞こえてきた。 「アイツめちゃくちゃ頭にくるんだよ」 これは、獲物かもしれないわ。あ、いえいえ失礼しました。わたしのお客様にしたいです。うふふ。
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