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再び森口さやのプロローグ
わたしはホットドッグのウインナーのジューシーでパリッとした食感に舌鼓を打ちながら隣の席に座っている女性達の話に耳を傾ける。
「わたし一生懸命仕事をしてるのにちょっとミスをすると怒られるし同じミスをしてもパートの人には優しいんだよ」
艶々したおかっぱ頭の女性が言った。
「……そっか、それって仕事やる気なくなるね」
髪にウェーブのかかった女性が唇をひん曲げた。
「うん、そうなんだよね。まあ、派遣だから元々与えられた仕事の以外の責任はないけどね……」
そう言って艶々したおかっぱ頭の女性はふぅーと溜め息をつきフォークでケーキのイチゴをグサッと刺し口に運んだ。
たしかにそれは理不尽なことだと思うけれど、わたしのお客様(獲物)にするにはちょっとありきたりな物語かもね。
わたしは、うーんと唸りホットドッグをかじる。悔しいけれど、やっぱりジューシーで美味しいではないか。
その時、妖しげな鋭い視線を感じた。何だろうと思い振り返ると森城氷太と目が合った。
まさか、この美しいわたしに見惚れていたのかしら? うふふ、いやいや待てよ、それにしては目つきが鋭いよね。
これはまさか……。
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