見えない手紙 ー嘘つきピーターにさよならー

1/20
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
 空一面の藍色。新月の夜は胸が踊る。  だって、今日は手紙が来る日だから。  文通ってしたことある人はどれくらいいるのだろうか。  私は小さい頃には友達とよくした。クリスマス前にはサンタともした。  でも、どれも長続きしなかった。  サンタの文通が一番最短だった気がする。6歳のときに始めて、7歳のときにサンタの正体がわかってからパッタリなくなった。  小さい頃は数え切れないほどの相手とした文通だけど、大人になってからはあまりしてない。  今は1ヶ月に1~2回だけある相手と文通してる。  その相手は信じられないかもしれないけれど、ピーターパンだ。そう、あの童話の。  始まりはいつからだっただろう。ぼんやりと、社会人になって一人暮らしを始めてからだったことは覚えている。  その頃の私は疲れていた。疲れきっていて、最初は妄想か何かだと思った。  ピーターパンからの手紙はロマンチックに空からひらひらと舞ってきて窓から入ってくるわけでもなく、ただなんとなく郵便受けを見ればその手紙が入っている。  汚く書かれた文字。おかしいよね、ピーターパンは外国人なのに日本語で手紙書いてるんだよ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!