協力者。

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協力者。

中に入ると、そこにいたのは小柄な女の子だけだったので拍子抜けした。 だが。 白っぽい黄色の髪も肌もかさかさで、短い衣服のすそから伸びる痩せほそった足は、まるで棒のようだった。 「……」 「あ、あノ、言葉分かりマすか?」 「うん、大丈夫」 フードをかぶった連中の話す言葉よりも、よほど聞き取りやすい。 「少し覚えマした」 そう言いながら、彼女はぎゅっと手に握った艶やかな黒いリボンを差し出してきた。 高級そうなリボンは、彼女の身なりからして自分のものではなさそうだ。 もしかして、これは。 「せり、確認して」 ふんふんとリボンの匂いをかいだせりは、胸を張って「にゃあ!」と鳴いた。 やはり、エリザベートのものか。 「助けがくルって、言ってたカら」 そう言って、女の子はにっこりと笑った。 「……あなたは?」 フードをかぶった連中の仲間ではないのか? そうたずねると、女の子は困ったように私を見た。 「お世話係? デす」 んー? 連れてこられた獣人達のお世話係ということか? だとすると、私達を中に入れたのは、彼女の立場としてはマズくないか? 「……みンな、痛い、助けて、って泣いていタから」 ……なるほど。 この世界にも、いろいろな人間がいるということか。 だが、身なりからして彼女も冷遇されている側の人間なのだろう。 「案内してくれる?」 「はい」 移動しながら話を聞くと、茶色と白の猫が入ってきたそうだ。 それを見て、黒い女の子が「助けがきた!」とほかの獣人達に声をかけて励ましていたということだった。 彼女が入り口を開けてきてあげると言うと、リボンを渡された。 これを見せれば、敵じゃないと分かってもらえるから、と。 猫は入り口の近くまでついてきてくれたそうだ。 ほかの人達に見つかりそうになったが、猫が鳴くと不思議なことに全員がぼーっとしてしまい、そのすきに入り口まで来れたということだった。 「でも、待ってイる間にどこかに行ってしまいマした」 「ああ、うん。だいたい分かった……」 自分のやることをやったら、私がくる前に人魚を探しに行きやがったな、よつばめ……。 まぁ、この女の子の護衛はちゃんとしていたみたいだから、そこはほめてあげたいが。 人魚は食べないと、何回言えば……!!
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