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華高祭
十月、華高文化祭三日目最終日、体育館の入り口近くの壁にもたれて目当ての軽音のバンド、最後の曲を待っていた。
あの撮影がどういうものになったのか、気になって来てみたが、思った以上に盛り上がった会場で一人だけ浮いているのを感じ、ひたすら気配を消すことに専念していた。
文化祭のイベントがスケジュール通り体育館で行われている。軽音部のライブ前は演劇部と合唱部のコラボミュージカルだったが、ふざけ具合がなかなかだったとクラスの奴から聞いた。そして軽音部三バンドのライブ、そのトリが三年生のバンドだった。
「華高のみんなぁー、オレたちHalf Moonの最後の曲、“半月”だ。ここでのバンド活動は残念ながら今日でおしまい。今日はとっておきの映像とともに楽しんでくれ! とってもいい感じに仕上がってると思う。写真映像部のみんなにもthank you! 華高、みんな一緒にイクぞ~」
「うぉ~!!」
暗幕で覆われた体育館は男子校独特の汗臭さと熱気で、オレは正直ついていけず出ることばかり考えていた。
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