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「将宗くん、着替えていいよ。今日はありがとう。たくさん撮ることができたから、いいものになると思う。助かったよ」
「いえ」
高橋さんにはそれだけ言って、後片付けをしている他の部員たちに聞こえるように声を張った。
「先に帰ってください。オレは家が近いんで少し泳いでから帰りますから」
オレは川まで走り、身を沈めた。子どもの頃からよく泳ぎに来ていた川。その浅瀬に浸かり、見上げる。月に雲が大きくかかり、うっすらと半月だとわかる程度の明かるさ、薄暗い川はオレにはありがたかった。
今日集まった部員全員が普段電車通学の生徒だった。まだ、各方面最終までに三本以上残っているのではないかと思う。電車のあるうちに解散となってよかったと思った。
数分後には片付け終わった彼らが土堤を上がっていくのが見えた。その背に向かって高橋さんが言った。
「今日はこっちに泊まる。ボクもここで。じゃあ来週、学校で」
彼らが川沿いの道路へと上がっていくのを見送り彼は川に入ってきたのだ。
なんで?
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