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月夜
高橋さんに呼び出されたオレは土堤で空を見上げた。あの撮影の月と違い満月に近い。明るい月夜である。
図書室で出会ったイケメンの三年生の高橋さんが写真映像部だったことを知って、どんな風に撮るのか興味があった。断りにくい状況の中で頼まれ、承諾したことについては後悔はしていない。話通り顔を出さないとの約束での編集、完成した映像が華高最後の文化祭でHalf Moonの曲と共に披露された。
あの夏休みの半月の夜、高橋さんのOKが出るまでは撮り直しになると強く言われ、何度目かのスタート時にはTシャツを脱がされて半裸に。気づけば全裸になっていた。男子校のノリみたいなものもあったし、いいものをという高橋さんの真剣な目に応えなくてはならないと思った。だからそこまでは特に何があったわけではなかった。あのラストテイクで彼に抱きつかれるまでは。
そこから川の中での出来事までの高橋さんの一連の行動に対する動揺、疑問、怒りなどがないまぜに。それを突き詰めたり、考えたりしないよう彼を避けていたのだと思う。
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