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中学時代に離人症・現実感消失が始まった
私の最初の精神疾患は離人症・現実感消失から始まりました。
「突然、夢か現実か分からない」
「目に見えるものが本当なのか信じられない」
といった感覚。
「私は私」
と頭では分かっているものの、自分の体ではない感じ。わざと手の平を握って爪を立て、その痛みを感じるか試したり。
「離人症・現実感消失」は、いつでも、どこでも、誰と(一緒)でも、突然やってきます。
中学生の時、朝からモヤがかかっているような、霧の中にいるような違和感を感じました。特に天気が悪いわけではなかったのに。
通学路の途中で、突然
「夢か現実か分からなくて怖い」
「生きているのか? 死んだのか?」
何が何だか分からないパニック状態になり、
「怖い! 怖い! 怖い!」
と悲鳴をあげて全速力で走り出していましたが、すれ違う人の驚いた顔をみて、ハッと我に返りました。
私は保育園の頃から母と離れるのが不安な「母子分離不安」がありました。後述しますが、小中といじめなどがあり不登校でした。
この日は中学の定期テストで学校に行かなければならず嫌々登校したので、家族からは学校へ行くストレスで起きたんじゃないかと言われました。誰も病気だなんて思わなかったのです。
実際、離人症・現実感消失はストレスでも起きるようなので、家族の推理は当たっていました。
この日を境に昼夜問わず突然発作のように起きるようになり、酷い時は家のトイレの中でも起き、慌てて部屋に戻り布団にくるまったり。そんな時もありましたが、普段は学校に行かず家にいて、出かける時は誰かが一緒だからそこまで不安ではなかったです。
家族に説明しても理解してもらえず、今と違い一人一台のパソコンやスマホのない時代。調べようがありませんでした。
高校生の頃は、友達と一緒の時でも発作は起きました。慌てた私は急に立ち止まったり、逆に早歩きになったり、話せなくなったり。
友達にはおかしいと思われたくないので、
「貧血なんだよね」
と嘘をついてやり過ごしていました。いま考えれば貧血とは違うし、十分怪しい行動だけど。自分でも普通じゃない感覚だと意識していて「変な子」に思われたくなかったのです。
夜、兄と歩いていたら現実感消失で怖くなり走り出しました。
兄に、
「誰と追いかけっこしてるんだーー」
と言われたくらい猛ダッシュ。
夜になると症状が出やすいと気づきました。
夜は1人で出歩かないようにしました。
不思議な事に家族以外の知人や見ず知らずの人に遭遇したりすると症状がおさまってきます。やっぱり人から「変な人」と思われたくないと無意識に思うのかもしれないです。
大学時代、駅まで自転車通学でしたが、またもや突然発症し、怖くて逃げ出したくて猛スピードで自転車を漕ぎ、
「誰か助けて」
と心の中で叫びながら、目をつぶってそのまま漕いでいました。
はっと気づいた時には、赤信号の大通りにでる寸前。いつの間にか無意識にブレーキをかけていたようで命拾いしました。
私の場合、離人症状と現実感消失は、波に似ています。波が来るなと予感していて穏やかに来る場合と、予期せず突然、津波級の大波が襲ってくる場合の2パターン。
そして、一番危険なのは、
「怖くて、その場から走って逃げ出そうとする」
こと。
先程の自転車で大通りに飛び出したことだけではありません。夜だけではなく、日中でも道路に走り出し、母に後ろから抱きしめる形で止めてもらったことや、駅のホームで走り出して落ちそうになったことも。
夕方の茜色の空の時間帯も苦手です。夕方、細い路地で起きた時も急に走りだしましたが、まだ保育園児の甥達も着いて来てしまいました。姉に事情を説明したのですが、子供がいるのに危ないと怒られました。離人症・現実感消失と現実感消失は、家族でも母以外、理解してもらえませんでした。
2000年頃、テレビで「パニック障害」の事を知りました。
突然くる
「生きているのか? 死んでいるのか? 分からない」
「気が狂うのではないか」
という心の衝動はコレだったのか! と。
ただ、この頃は心療内科や精神科の敷居が高く、受診するという選択肢はなかったので、発作が起きたらやり過ごす日々。外出時は内心ドキドキしていました。
転職活動中にほとんど家から出られないくらいほど悪化しましたが、1人で近所の図書館まで歩いて慣らしました。自転車だとどんどんスピードがますが、徒歩なら走ってもたかが知れているので、車の往来の少ない道を選んで歩くように。一進一退でしたが症状は落ち着いてきました。
私の場合、離人症・現実感消失が起きるのは寝不足と夜が多いです。頻繁に起きる時期と全く起きない時期とに分かれているパターンが多いですが、たまに大ウェーブが起きたりもします。
離人症・現実感消失に関しては医師から積極的な治療が行われたことはなく、心療内科受診当初は発作が起きたらソラナックスという安定剤を頓服していました。しかし、その後は薬を飲んでおらず、ただ波が治まるのを待っているだけです。
母や夫には、
「一緒にいるから大丈夫でしょ」
と言われるのですが、すごく申し訳ないけど、誰といても起きる時は起きてしまいます。
きっと起きたりおさまったりを繰り返しながら付き合っていく病気なのかなと受け入れるようになりました。
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