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「あ。そんなことよりお昼どーするぅ?」
メガネに頭を下げさせていた綾人がちらっとこちらに視線を寄せては首を傾げた。
なかなかの辛辣な物言いにメガネは無事かとメガネを見るけれど、全然平気そうだった。寧ろ幸せそうに「なるほどドS攻めか…尊いな」と意味のわからないことをブツブツと呟いている。さすが鋼メンタル。
「あ、それなら食堂に行かないか?」
ダイヤモンド???なんでお前がそれに答えるの?
なにその最強メンタル、と若干引いた目で眺めていれば、綾人が一瞬メガネを視界に入れたと思うとすぐに逸らしては鋭い榛色の瞳でこちらをがっしりと捉えた。
え、なに。こわい。
シンプルにビビる俺をよそに形の良い唇はゆっくりとそれに隙間をつくる。
「……透ちゃん。今日弁当は?」
「な、ないけど…」
「ってことは聖ちゃんのもないんだよね?」
「う、うん……?」
「…………仕方ないか、変態の思い通りにはなりたくなかったけど」
「……」
なんとなく綾人が考えていたことは察せたけれど、ここまで邪険にされるメガネ寧ろ凄くない?どこまでメンタルを鍛え上げるつもり?
「よし。変態の思い通りになるのはすっっごい癪だけど食堂にしよっかぁ」
「……もしかしてソレは僕のことかい?」
「は?ほかに誰がいんの?」
「…いつもかよ」
「ああ、うん。コレがふたりの通常運転だよ」
自分で訊いてきたくせに「へえ」と心底興味なさげに呟く聖を横目にバチバチのふたりに声をかけ、時間も押しているためと食堂へ急いだ。
さて、食堂への道のりは長い。
食堂のある校舎に行くために一旦、俺たちのクラスがある校舎から出ないといけないのだ。非常に面倒で、食堂へと急ぐ足も重くなるけれどその分(?)食堂の中はとても広々としている。
外部生みたいな外から来た子にとっては居心地悪く感じる場所だろうけれど、一度此処で過ごす1年を経験してしまえばこんなこと大して気にならなくなる。
目に優しくないシャンデリアとか何億とする絵画とか、普通の学校にはないものだって俺だって分かるけれど何度も目にすれば気にならなくなるし、寧ろその豪華絢爛とする空間が癒しとさえ感じるようになる。
それだけ此処の学園生活は濃いし、メンツも濃い。
まあ、それも今だけだって思えば貴重な思い出をいろどる一部だろうしね。
「うむ。今日はたしかA組のツンデレカップルが食堂でランチデートする予定…あぁ、貴重なデレをカメラに収めなければ…!僕が収めなくてだれが収めるというんだ!!」
「あ?それが目当てかよゴミ」
もちろん限度はあるけれど。あと綾人言い過ぎ。
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