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4
激しい交わりのせいで足元が覚束ない真南人は、夏川に優しく抱えられながら、一緒にシャワールームまで歩いた。
「駄目だ。まだ足りない……俺の、君と会えなかった一年半を甘く見るなよ」
脱衣所に入るなり、夏川は突然真南人を抱きしめてそう言った。
「……え?」
真南人は少しだけ驚いた顔をすると、その先の言葉に詰まった。
「あはは。冗談、冗談。何もしないよ。初めての子にそんなひどいこと。俺だってちゃんと理性は働くよ。ほら、シャワー浴びないと」
夏川は笑顔でそう言うと、真南人の手を引き浴室に入った。
温めのお湯をわざと強めに出して、二人で体を密着させながら狭いシャワールームでシャワーを浴びた。
夏川は真南人の体を労わるように頭から爪の先まで丁寧に洗ってくれる。そして、自分の吐き出したものの後始末をしたいと言いだし、真南人は自分でできると断ったが、結局、夏川が真南人の秘部に指を入れ、中のものを綺麗に掻き出してくれた。
でも、体は正直で、そうやって弄られてしまうと、また自分の中心が熱を持ち始めてしまう。それは夏川も同じで、体を洗い終わった二人は、お互いから強い欲情が立ち上がっていることを確認し合うと、引き寄せられるように抱き締め合い、お湯の混じった激しいキスを交わすことになる。
「ふんっ、んんっ」
「触って、真南人……俺の」
夏川は真南人の手を自分の中心に少し遠慮がちに持っていく。
真南人は再燃した欲望とシャワーの熱のせいで、頭が浮かされたようになりながら、拙い手つきで、それでも夢中で夏川の中心を扱いた。
「はあっ、ああ、いいっ」
艶っぽくよがる夏川のセクシーな表情に、真南人はたまらなくなり、思わず我慢しきれず、自分のものにも手を伸ばそうとする。
「待って、俺も」
それに気づいた夏川は、真南人の中心へ手を伸ばしたが、真南人はそれをやんわりと断った。
「僕はいいから……」
真南人はそう言って夏川の前に跪くと、壁に押しやりながら、夏川のそれをそっと口に含んだ。
「はあっ、やっ」
初めてでやり方など分からないが、そんな躊躇いや焦りよりも、夏川に対する欲情の方が勝り、ただ無我夢中で愛おしい夏川の分身を、心を込めて舐め上げた。
「はあっ、ああ、あっ、あっ、やっ、真南人っ」
壁に手を彷徨わせて、夏川は今にも膝から崩れ落ちそうなほどの状態でいやらしく喘いでいる。その声と様子が真南人の心を満たす。夏川に気持ち良くなってもらえることが素直に嬉しい。
真南人は、そんな夏川に更に煽られ、治まりきらない自分のそれを、夏川に気づかれないようこっそりと自慰する。
「はあっ、もうっ……だ、だめ、い、いくっ!」
夏川のはき出したそれすらも特別なもののように愛しくて、真南人はそれを口の中に余すことなく受け入れながら、同時に自分の欲望を解放した。
「ああ、はあ、はあ、ご、ごめんね。すごく気持ち良かったけど……ざ、罪悪感が……」
夏川は壁に寄りかかりながら床にぺたりと座りこむと、複雑な表情でそう言った。
「気にしないでください。瑠生さん。すごく可愛かったですよ」
「ああ……益々みじめになるから。そんな年上目線でものを言わないでよ」
夏川は困ったように眉根を寄せると、真南人の頬を優しく撫でた。真南人はそんな夏川の手をぎゅっと握ると、まっすぐ夏川を見つめた。
「瑠生さん。今日が僕にとって本当の意味での誕生日です。何故だか分かりますか?」
「え?」
「今日、僕はやっと本当の自分に生まれ変わったからです」
「真南人……」
「最高の誕生日をありがとうございます。今日という日を、僕は一生忘れない」
真南人の言葉に、ついに夏川の涙腺は決壊した。真南人の瞳を見つめながら、夏川は真珠のような涙をぽろぽろと零し始める。
「ううっ、うっ、うっ」
「ああ、絶対瑠生さんの方が僕より泣き虫だ。あはは」
真南人の笑い声はシャワー室に軽やかに木霊した。それはとても明るく心地良くて、今まで聞いた自分の声の中で、一番幸せな響きを伴わせていた。
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