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「僕のバッグ、取ってもらえる?」  いいよ、と言った耀くんが全裸のまま部屋の入口付近に落ちていた僕のバッグを取ってきてくれた。ついでに椅子にかけてあったパーカーもひょいっと取った。  絵みたいに綺麗な耀くんの身体。なんか最近ますます筋肉質になってめちゃくちゃ格好いい。  その耀くんの背中に、僕が付けた赤い爪痕。  ベッドに戻ってきた耀くんが「はい」とバッグを渡してくれて、起き上がった僕の肩にパーカーをかけてくれた。 「ありがとう、耀くん」  耀くんのパーカー、おっきい。 「はは、碧、パーカーに埋もれてて可愛い」  可愛い可愛いって上機嫌で耀くんが僕を抱きしめる。  しあわせ  僕は耀くんに抱きしめられたまま、バッグから耀くんへのクリスマスプレゼントを出した。 「はい、耀くん」 「わ、ありがとう。嬉しい。開けてい?」 「うん」  耀くんのキラキラの笑顔が眩しい。  どうかな?喜んでくれるかな?  ドキドキしながら、包装紙を解いていく耀くんの大きな手を見ている。 「これ…」 「ブックマーカーだよ。耀くん本好きだからいいかなーって」  金属でできた金色のトンボのブックマーカー。美しい曲線の蔦にトンボが止まっている立体的なデザインで、色合いとかがちょっとクラシックな感じがオシャレで、耀くんに似合いそうだと思った。 「すごくいいね。うっかり図書館の本に挿しっぱなしにしないように気を付けなきゃな」  ありがとうって言いながら、耀くんが僕に軽くキスをした。 「ね、碧。ちょっと目瞑って待ってて」  耀くんにそう言われて、僕は、うん、と頷いて目を閉じた。 「うわ、可愛いな。ほんと俺の碧はめちゃくちゃ可愛い」  そんなことを言って、また耀くんが僕にちゅっとキスをした。  しあわせ  一度ベッドのスプリングが浮かび上がって、また耀くんが隣に座った。  それを目を閉じたまま感じている。  掛け布団の中に耀くんがするっと入ってきて脚が当たった。  ちょっと冷えちゃってる。  そう思って、耀くんの方に少し寄った。脚をぴたっとくっつける。 「碧あったかいなぁ。エアコン入れててもさすがにこの季節は寒い」  クリスマスだもんな、って耀くんが笑う声。  そして僕の右手を取った。  何か持たせてくれるのかな?  あれ?でも手のひらの方を下に向けられた。  耀くんの大きな手の上に、僕の右手がのせられている。  薬指の腹に、何かが当たる感触。  そこから指を、薬指を耀くんの指が奥まで触れていく…。  これって…っ
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