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 耀くんが長い腕で僕をぎゅうっと抱きしめてくれる。  その大きな手に、ペアリングが光った。  うれしい  へへって笑いながら、自分の薬指の指輪を見る。  うれしい、うれしい 「碧、指輪気に入ってくれたみたいだね」 「うんっ」  そっか、良かったって耀くんが僕の頭を抱えるように撫でた。 「でもずっと、土日片っぽしか会えなくてごめんな?」 「え?」  なんでそれ、今謝るの? 「俺さ、碧に内緒でバイト行ってたんだ。真木ん家に」 「え、え?そうなの?」  全然気付かなかった。 「ペアリングは働いて買いたかったし、碧を驚かせたかった。それでバイト探してたら真木が「うちで働かない?」って言ってくれて。あいつん家配送業だからさ。で、荷物の積み下ろしとかそういう仕事、してた」 「あ…」  ますます筋肉質になった耀くんの身体。  …格好いいはずだよ 「そう…だったんだ…」 「毎週ね、会えない理由を考えるのが大変で、しかもすごい心苦しかったんだけど、でもやっぱ、びっくりさせたくて」  もう一回「ごめんね」って言って、耀くんが僕を見つめた。 「…耀くん、隠しごと上手(じょうず)すぎだよ?」  上目に、耀くんを睨んで言ってみる。それが耀くんにどんな風に見えてるかぐらい、もう分かってる。  綺麗な切れ長の目を見張った耀くんが、ふふっと笑った。 「可愛いなぁ。もっと怒らせてみたくなる。碧の怒った顔、絶対可愛いし綺麗だよね。…まあ怒らせたりするつもりないけど」  そう言いながら僕をぎゅうっと抱きしめる。 「覚えといて、碧。俺は碧を傷付けるような隠し事はしないし、嘘も絶対につかない」  耀くんの低い声が耳の奥に溶ける。 「…うん…」 「だけど今回みたいなサプライズは許して?碧のびっくりして喜ぶ顔、見たい」  そんな、甘えるように言うのはズルい。  でも…  お互いの右手の薬指に、キラッと光るペアリング。 「…耀くん、サプライズもすごい上手」  その右手で、耀くんの右手をきゅっと握った。 「また、びっくりさせて?」  耀くんを見上げてねだってみる。 「そうだね。次はどうしようかなぁ?」  くすっと笑った耀くんが、僕の頬にキスをした。 「楽しみにしてるね?」  僕も耀くんの頬にキスをする。 「うわ、ハードル上げられた」  くすくす笑う耀くんが、僕をゆっくりと押し倒した。 「期待に応えられるように頑張るよ」  僕を見下ろしてくる耀くんが、最高に格好よくてくらくらする。    耀くんは僕の恋人  誰より格好いい、僕の恋人  手を伸ばし、顎を少し上げてキスをねだる。  愛してるよ、って囁いた耀くんが、僕に深く口付けた。  了  
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