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美しく舞う人
僕は無事に舞台芸術を専攻できる大学に合格した。ダンスを続けるためだ。
”ユウヒ元気? 大学無事に合格したよ!”
”やった! おめでとう! いつか専門家にダンスを教えてもらわなくちゃ”
ユウヒはそう返事をくれたが、アイドルは恋愛禁止はもちろん、なかなか友達にも会えないと聞いている。男友達の僕なんて、会えるわけも無かった。
けれど僕はいつか会えると信じて、春からここに住むよ、と新しい引っ越し先の住所を知らせた。
大学一年の一番最初の実習の時。ひときわ美しく舞う人を見つけた。初めて僕は同い年の人に踊りで負けたと思った。
あの子誰? と周りもざわめいている。
「キッカ。オノウラキッカだよ」
どこからかフルネームが聞こえてきた。
キッカ。
赤い髪をなびかせて、いきなり僕の目の前に現れた人。
僕の心は彼女に奪われてしまった。
キッカが入ったというサークルに、僕も少し遅れて入った。そのサークルは、学部学科の枠を超えて、様々な表現に挑戦したい人が集まる場所だった。
「トモ! お前サークル入んないの?」
高校からの友達、ノゾムも同じ大学の油画科に入っていた。
「うーん、どこにしよっかなって感じ」
「入ろうとほぼ決めたとこあるから、トモも見に来たらいいよ」
「じゃあ今日行ってみようかな」
そこにキッカがいたのだ。サークルがやっていることも面白そうだったし、ノゾムもいるし、入らない理由が無かった。
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