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ベッドを何度も軋ませて迎えた朝は、雨も上がって陽の光が差してきていた。腕の中のユウヒを見ると、やっとあるべき場所にお互いが戻ってきたような気がする。
付き合ったけれどキッカとキスもしなかったのは、やはりキッカは僕を男として好きになれなかったし、僕もキッカに興味を持ったのはきっとダンサーとしてだったのだ。縁が無かったのだろうと思う。
"今まで付き合ってくれてありがとう。また友達に戻ってくれたら嬉しいです"
キッカにメッセージを送った。
"いい彼女になれなくてゴメンね"
すぐに既読になり、返信が来た。キッカも悩んでいたのかもしれない。
「ユウヒ……」
ユウヒがいることを確かめるように腕の中に包んだ。ずっとこうしたかった。パンケーキを食べに行ったあの日、君をきれいだと思った時から。
「おはよ、トモ……」
「久しぶりにパンケーキ食べに行こ?」
「……ん……」
「こすったら目が痛むよ……」
目をこするユウヒの手を柔らかく握ってどかした。僕を見上げたユウヒのおでこにキスをすると、彼女は泣きそうな顔をして笑った。
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