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七瀬は幼い頃から親からの暴力、虐待、ネグレクトに耐え、病気になっても療養すらさせてもらえず、奴隷同然の働き方で全てを1人で背負ってきた。 毎日親のストレスの捌け口にされ、成績が悪いと容赦なく殴られた。勉強する時間など与えなかったのに、だ。いつしか七瀬は笑わなくなり、泣かなくなり、全ての感情をどこかに捨ててしまった、人形のような子になっていた。 だからこそ、小学2年生だった七瀬がいきなり吐血し、胸を押さえて苦しみ始めた時,本当はすぐにでも緊急治療しなければならない状況だった。それほどまでに我慢をすることに慣れてしまい、それでも我慢できないほどの苦痛に襲われたのだ。 それなのに、七瀬の両親はそんな彼女を嘲笑い、苦しんでいる七瀬を面白がって蹴り回して、血だらけになっているところの後始末まで七瀬にやらせた。 実際、七瀬は数回,いや数十回。自殺未遂をしている。その度に止めていたのはあやとだった。しかしそれが本当に良かったのか,と自信がなくなってしまうほどに七瀬はいつでも苦しみ,死を求めていた。 なぜ自分は生まれたのか。なぜ周りの子供のように母親は優しく笑いかけてくれないのか。なぜ自分は生きているのか。その答えを教えてくれる人はいなかった。 小学2年の頃から七瀬のことを蝕み続けている病はもう取り返しのつかないところまできてしまっている。七瀬も,自分がもう長くはないとわかっている。愛情を知らないまま育った七瀬。自分を大切にする…などという発想があるわけがなかった。どれほどあやとが大事にしていても,自分のことは二の次で働き,倒れるを繰り返していた。もう限界など当に超えていた。
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