目覚め。

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あやとは苦しむ七瀬をこれ以上見てられなくて病室を出ようとした。扉の前に立ち,取っ手に手をかけた時,後ろでドサッという音がした。あやとが後ろを振り返ると、七瀬がベットから落ちていた。動かない体で必死にあやとに近づき,声にならない声で『行かないで。』と呟いている。  あやとははっとした。苦しんでいる七瀬を置いて出ようとした自分を許せなかった。 (ゴホッ ゴホッ ヒュー ヒューッ ゲホゲホっ 「ななせ。ごめんな。置いていかないから。ずっとそばにいるから。」 そう、声をかけながら七瀬をベットに戻した。抱き上げた時,前よりさらに軽くなっているのがわかり,また悲しくなる。
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