side郁斗

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ずっと1人で耐えてた。それをずっと誰にも言わなかった。壊れるまで。 七瀬はそういう子だ。甘え方を知らなくて,親からの“無償の愛”も知らなくて。 それでも人前ではニコニコ笑っていて、自分のことより人のことを優先して。ずっと。だからこそ、周りは七瀬の苦しみに気が付かなかった。 七瀬の両親は、幼い七瀬に恐怖心と絶望、負の感情だけを残して、勝手に死んでいった。謝罪も一言もなかった。ギャンブルに溺れて死んでいったのだから自業自得なのかもしれない。だが、両親が死んだところで七瀬の心の傷は癒えない。それどころか人を信じられなくなり、一度はあやとまでもを拒んだ。あやとが近寄ろうとすると逃げ、隠れ、暴れた。親から見放された七瀬を家族同然に育ててくれたあやとの家族も。誰にも弱みを見せず、一人で全てをこなそうとする。
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