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ミルラは戸惑っているオーギュストに、にっこりと笑って見た。
「なぜ、そんな質問をするのですか・・・?」
オーギュストは目をほそめて、不思議そうに聞いた。
ミルラは、その顔にすぐに反応した。
「ああ、そのお顔、素敵です!
肖像画はその人となりを出さないと、魅力的ではないので。
私は、良い絵を描くために、神官様の事を知りたいのです」
ミルラはグイグイ迫って、オーギュストの顔の前に指でつくった
四角を差し出した。
「そんなに・・見つめないでください・・」
オーギュストは少し赤くなり、うつむいた。
「見ないと、絵は描けません。観察することが基本ですから」
ミルラは腕組みをして、ややうつむき加減のオーギュストの周りを、
一周まわった。
「それでは、お好きな食べ物は?」
ミルラは、よい止まり木をみつけた小鳥がさえずるように、
リズミカルに木炭を動かしていく。
黙り込んでしまったオーギュストに気が付くと、
いたずらっぽく口を開いた。
「私は、ジンジャービスケットが好きです!
さて、神官様は何がお好きですか?」
まるで、しりとり遊びをしているようだ。
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