肖像画の描き方

2/4
前へ
/20ページ
次へ
ミルラは戸惑っているオーギュストに、にっこりと笑って見た。 「なぜ、そんな質問をするのですか・・・?」 オーギュストは目をほそめて、不思議そうに聞いた。 ミルラは、その顔にすぐに反応した。 「ああ、そのお顔、素敵です! 肖像画はその人となりを出さないと、魅力的ではないので。 私は、良い絵を描くために、神官様の事を知りたいのです」 ミルラはグイグイ迫って、オーギュストの顔の前に指でつくった 四角を差し出した。 「そんなに・・見つめないでください・・」 オーギュストは少し赤くなり、うつむいた。 「見ないと、絵は描けません。観察することが基本ですから」 ミルラは腕組みをして、ややうつむき加減のオーギュストの周りを、 一周まわった。 「それでは、お好きな食べ物は?」 ミルラは、よい止まり木をみつけた小鳥がさえずるように、 リズミカルに木炭を動かしていく。 黙り込んでしまったオーギュストに気が付くと、 いたずらっぽく口を開いた。 「私は、ジンジャービスケットが好きです! さて、神官様は何がお好きですか?」 まるで、しりとり遊びをしているようだ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加