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オーギュストは、ミルラとの会話に、戸惑いと軽い高揚感を感じていた。
「ああ、私はワインをたしなみますが・・」
ミルラは木炭で汚れた指を、ぱちんと鳴らした。
「ワイン!いいですね。貴腐ワイン飲んだことあります?
甘くておいしくて。
それでは、次の質問です!」
木炭を素早く動かしながら、ミルラはしりとり遊びを続けるらしい。
コンコン
ノックの音がした。
「神官様、お客様がお見えですが」
先ほどの事務官が顔をのぞかせて、声をかけた。
「ああ、わかりました。今日はこれでおしまいですね。」
オーギュストが答える前に、ミルラが先に返事をした。
そして、手早く画材を大きなバックに突っ込んだ。
「先に客室に案内をしてください。
私は着替えをしてから行きます」
いつもの冷静な口調で、オーギュストが答えると、
事務官は一礼して退出した。
ミルラは心配げに、
手をもじもじとスカートを握りしめるようにして聞いた。
「次は・・いつこちらにお伺いすればいいでしょうか?
まだ、いくつかのパターンで描きたいと思うのですか・・・」
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