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オーギュストは、やはり窓の光が逆光になっているので、
表情がわからない。
「私があなたのアトリエに行きましょう。今
日の件もあるし、そのほうが良さそうだ。
週末の日曜日の午後なら、時間があいているので、どうですか?」
「本当ですか!助かります!1」
ミルラは、思いっきりの笑顔でうなずいた。
「それならば、今日の遅刻のお詫びに、お昼をご用意します。
貴腐ワインもありますから。」
オーギュストは、ふっと微笑んだ。
「ひとつ、質問をしていいですか?」
ミルラは紙ばさみに、デッサン用紙を挟み込む手をとめた。
「あなたが女神に花をささげるとしたら・・何の花がよいと思いますか?」
オーギュストは、まっすぐな青灰色の瞳でミルラを見つめた。
ミルラは少し、考えて
「そうですねぇ・・女神さまならば、白の百合の花が定番なのでしょうけど、
私なら元気が出そうな黄色の花、マリーゴールドとかひまわりとか・・
いいと思います」
太陽のように満面の笑顔のミルラにふさわしい・・
オーギュストは感じた。
「わかりました。ありがとう」
オーギュストは軽く頭を下げて、部屋から出て行った。
一人残されたミルラは、ため息を吐いた。
「気難しい人って聞いたけど・・
ああ、お昼ごはん、なにがいいか聞いておけばよかった!!」
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