神殿の最高神官とは

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神殿の最高神官とは

<神殿・最高神官・執務室> 「遅いっ!!」 オーギュスト・サンサザール最高神官は、神殿の広間で正装した 神官服姿で待機していた。 その側に、控えている事務官に強い口調で言った。 サンサザール神官はまだ若いが、濃いブラウンの髪、 灰色が勝った青の瞳は、冷酷な印象を相手に与える。 長身痩躯であり、それは神に仕える身としての禁欲的なイメージがあった。 最年少での最高神官の就任、オーギュストは能力も抜群に高いが、 プライドも高かった。 「申し訳ありません。今、使いをやって確認しています。 なにしろ腕は一流だそうですが、気まぐれな画家らしくて・・・」 事務官は、オーギュストのとがめるような視線から、 目をそらして言い訳めいて言った。 「まったく、待たされるこちらの立場も理解できないほどの 痴れ者(しれもの)なのか! 芸術家は自由人であるのは、よく聞く話だが・・・」 オーギュスト・サンサザールは神経のたった、いらつく様子で、 コツコツと靴音を立てて、数枚の紙を持って広間の中を歩き回った。
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