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「謝罪はもういいです。頭を上げてください」
オーギュストは立ち上がり、神官の正装についたほこりを手で軽く払い、事務官に言った。
「お茶の用意をしてください。
それと、彼女には冷たい水を」
「わかりました。神官様、すぐにおもちいたします。」
事務官は、素早く姿を消した。
オーギュストは、座り込んでいるミルラを見て
「ミルラ、すぐに私の執務室に来てください。
今日はもう時間があまりないので」
「へ・・・?」
ミルラは目を見開いて、オーギュストを見上げた。
オーギュストは、ポカンと自分を見上げているミルラに微笑んで、
手を差し伸べた。
「さぁ、立ってください」
「はぃ・・?」
「私の肖像画を描きに来たのでしょう?」
呆然として、事態が呑み込めないでいるミルラに
「私が最高神官のサンサザールです。」
窓の光が逆光で、オーギュストの表情はよくわからない。
ミルラは動揺しながらも、差し伸べられた手を握り、立ち上がった。
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