羽根打新人戦

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 蓮志は主審のそのコールに思わず耳を疑った。だが結果は変わらなかった。蓮志達は勝ったのだ。羽根打を初めてまだ一ヵ月程、それで蓮志は結果を残した。 「やった! やったよ、蓮志!」  精一が喜びを爆発させていた。だが蓮志は何処と無く現実感が無かった。まさか自分が羽根打で役に立てるとは正直思っていなかったのだ。 「精一、僕等、勝ったの?」 「そうだよ! 初陣を勝利で飾ったんだ。やったんだよ、僕等!」  蓮志と精一は相手選手と握手を交わした。相手も悔しそうだったが、それでも蓮志達に労いの言葉をくれた。蓮志はそういう時に何と返すのが正解か分からなかったが、そこは精一が代わりに相手のプレイスタイルの良い所を認める所で何とかなった。  蓮志と精一はコートから一度引き上げた。そこには鴨志田先輩が待っていた。 「勝ったみたいだね?」 「ええ、勝ちました」精一が自慢気に胸を張る。  鴨志田は満足そうに頷いた。「先ずは初戦突破だ。おめでとう。でもまだハコ抜けは出来ないからな。次も勝つつもりで行けよ」 「勿論です」矢張り精一は強気だ。 「あの、鴨志田先輩。藤宮達は?」 「ああ、初戦は勝ったみたいだよ。今赤崎が様子を見に行っている。君達も次の試合は直ぐに有るから、今の内に水分補給とかして置くんだ」  藤宮姉妹は確かに腕が良いと言える。きっとあのペアには蓮志と精一では勝てないだろう。蓮志はそれを一度体験していた。双子が故の息の合った攻撃と防御、そしてローテーションは蓮志と精一でも真似出来ないレベルの物だった。  蓮志は水を飲み、タオルで汗を拭いた。羽根打というスポーツは結構汗を掻く物なのだ。精一も持って来たレモン塩タブレットを齧りつつ、蓮志と一緒に暫しの休憩時間を味わっていた。  やがて第二戦、土佐霊術呪術学園のペアとの戦いになった。蓮志は気持ちを引き締めて、その戦いに臨む事とした。
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