第五話『確認』

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第五話『確認』

 島風とゲームセンターで遊んだ。二人でゾンビを退治するゲームをして、モグラ叩きをしたりUFOキャッチャーで遊んだりもした。  その後映画を一本見て感想を言い合う。それから様々な商品が並べられた大きな空間でウインドーショッピングをして何が好みであるのかを教え合った。  心子は終始言葉を詰まらせてばかりいたが、島風にそれを指摘されることは一度もなく、彼がそれに対して苛立ちを見せることもなかった。むしろどもる度に彼の笑みは柔らかくなっている気さえもする。  心子は楽しすぎるこの時間を満喫しているとあっという間に夕飯の時間になっていた。 「夕食を終えたら解散しましょうか」 「そそ、うですね」  二人は洋食屋に足を踏み入れると椅子に腰を下ろす。ふうと一息つきながら店員に出された水を飲んでいると島風はこんな言葉を発してきた。 「あの……一つだけ聞きたいことがあって」 「は、ハイ!! なんでございましょしょか……!!!」  改まった様子の彼に心子は緊張し、身体が強張る。何を聞かれるのかと少し怖かった。すると島風はこちらをじっと見て口を開く。 「俺の事……ファンだって言ってましたけど、それって恋愛の意味も含まれていますか?」 「へっ…………!!?」  確信をつくその質問に心子は驚く。しかしこれはしっかりと伝えるチャンスではないだろうか。  心子は大きく頷くとそれを正面から見ていた島風は安心したかのようにふにゃりと笑って「そっか」と声を返した。そして後頭部に手を当てながら「怖かったんですよね」と本音を漏らす。 「俺が一人で勘違いしているならそれは申し訳ないと思いまして」 「そそっそんな事ないです……わたっ私は………島風さんが……」 「お待たせしました」  そこで突然注文していたオムライスがテーブルの上に置かれる。どうやら時間切れのようだ。  心子は言いかけた言葉をごくりと飲み込むとスプーンを手に取り、オムライスに手をつけ始めた。
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