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第九話『進展』
テスト最終日を迎え、早速放課後に本屋へ立ち寄るとそこには楽矢の姿があった。彼はレジで会計をしており、客の対応が終わるとこちらの姿に気がつく。
目が合うことにこそばゆい思いが生まれるものの、それ以上に久しぶりに彼に会えた事が嬉しかった。
「いらっしゃいませ」
楽矢はそう言って柔らかな笑みを向けてくる。それだけで気持ちは高鳴る。心子は小さく会釈をするとしばらく本屋の中で歩き回った。
「心子ちゃん」
「!!」
楽矢はレジを離れ、そっと心子に近付いた。そうして小声で言葉を放つ。
「今日俺、早く上がれるから一緒に帰らない?」
「ははっはいっっ……!!!」
心子は声を小さく抑えながらも顔を真っ赤にしてそう答える。すると楽矢は「よかった」と笑みを零し、そのままレジ場へ戻っていった。自分と話すためだけに彼が動いてくれた事に喜びを感じる。
テストが終わった今、心置きなく楽矢の事を考えられるのだと思うと気分が躍るようだった。
「お待たせ」
「イエッ全然っ!!! おお、お疲れ様です!」
「ありがとう」
本屋の入り口で待っているとバイト上がりの楽矢がやってくる。エプロンを外した彼の姿は何だか新鮮であの時のデートを思い出させた。
途端にデートの楽しさを思い起こして浸っていると突然「ちょっと話したい事があって」と声を発してくる。心子は急な発言に背筋を伸ばしながら何でしょうかと言葉を返した。
楽矢は「こっちでいいかな」とこの時間帯はまだ人の少ない公園まで誘導してきた。公園に到着すると楽矢は後頭部を掻きながら少し話しにくそうに言葉を告げ始める。
「テストお疲れ様」
「あっ、ありがとうございます! お陰様で無事に終わりまっました!」
「よかった」
島風はまだ何かを話したそうだ。そのまま彼の反応を待っていると楽矢は再び言葉を繰り出してきた。
「……心子ちゃん、三週間くらい来てなかったよね」
「あっ……はい。そうですね、さ三週間くらいこれてなかったです!」
「うん、君に会えない期間がちょっと…いや、結構寂しかったんだ」
「はい……ってエッ!!!!!???」
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