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帰宅し、秀馬は母にこっぴどく叱られた。かばんの中からビチョビチョになった制服を見せれば、母は悲鳴をあげる。それに対して、優李はずっと爆笑していた。
逃げるように秀馬は風呂場でシャワーを浴びに行った。湖に浸かった汚れを落としたかった。
髪の毛を乾かし終わり、部屋に戻るなりベッドにいるコーラルを抱き締める。
「コーラル、今日は高萩と普通に喋れたよ。聞いてよ、そのキッカケがさ、カヤックなんだ。誰かが鯉がいるって言って気になったら高萩と同時に見ちゃって、あははっ、カヤックがひっくり返ったんだ。まさかだよな。お陰で制服から下着までビチョビチョでさぁ……」
コーラルは今日も笑顔で秀馬の話を聞いていた。コーラルを抱き締めながらSNSを開いて今日起きたことを書き込む。
――なんだろ。
別にぬいぐるみのことを話さなくても、一千翔が秀馬と同じ価値観を持っていると知っているだけで友井といるよりも心がとても楽だった。
疲れた身体を癒やすために秀馬はコーラルを抱き締めながら眠りに落ちる。
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