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4体目 行きたくない遠足
クラス替えの二週間後に遠足で隣のS県に行くことになった。街中を軽く散策し、メインは湖でのカヤックだ。二人でカヤックに乗り湖を一周するのだが……。
遠足の班決めまで名前順とか……。
必然的に秀馬と一千翔は席が前後のため同じ班になる。また班で男女の割合的に一千翔と同じカヤックに乗ることになっている。秀馬は遠足を本気で休もうか悩んでいた。
母に「休みたいなー」と試しに言ってみれば、母は笑顔で秀馬に告げた。
「行ったら行ったで楽しいわよ。まあ、家にいるなら掃除に洗濯とか家のことやってもらうからね。あと休むんだから自分で学校に連絡しなさいよ。もちろん、ずる休みなんだから外出は禁止ね」
「行きます」
自分で学校に連絡なんてできない臆病者の秀馬は即答した。あと、家のことも極力したくはない。部屋のベッドに寝転がりコーラルを優しく抱き締める。
「何もないよな、ただの校外授業だし」
コーラルはジッと秀馬を見つめていた。ぬいぐるみだからコーラルは笑顔の表情のまま話さない。それでも秀馬が言ったことを言い返さずに聞いてくれるコーラルが大好きだった。
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