50人が本棚に入れています
本棚に追加
/268ページ
「はぁ……
ヴィオラに会いたい」
公務の最中、そう頭を抱えるサイフォス。
「……自業自得ですよ。
国王陛下の公務をほとんど受け持って、ただでさえ忙しいというのに」
そう、実は……
サイフォスの父である国王は、重病を患っており。
もう半年近く、療養に専念していた。
しかし、反逆者に付け入る隙を与えないため。
そして国民に不安を与えないため、その事は隠されており。
国王の公務は、王妃とサイフォスが遂行していたのだ。
「そのうえ妃殿下の公務まで、勝手に全て受け持って……」
そう、ヴィオラには、王太子妃には公務はないと知らせており。
サイフォスが秘かに、全て肩代わりしていたのだ。
「挙句、その妃殿下に公務を妨害され。
その妃殿下のための剣術大会や庭造り、人材選考等のせいで、公務が滞ってるんですから。
無駄足を運んでる暇なんてありませんよ?」
そう、なけなしの隙を見つけて会いに行ったところで……
冷たくあしらわれるのがオチだからだ。
そしてこれらの背景があったため。
ウォルター卿がヴィオラを嫌うのも、至極当然だったのだ。
「しかも、妃殿下の言葉で大怪我までする羽目になったというのに。
その体で毎日、」
「わかった!
わかったからもう黙れ」
「いいえ、わかってません!
こんな状態が続けば、確実に倒れますよっ?」
「そんなヤワじゃない」
最初のコメントを投稿しよう!