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「素直に偉いわニケ!
ちゃんとサイフォス様を立ててくれてありがとうっ」
その言葉に、今度は王太子が……
ーーそんな当たり前な事で褒められるのかっ?
と、ニケの株が不当に上がるのを防ぎたいと思い。
「いや、調子が狂うから。
お前は今まで通り、無礼極まりなく、クソ生意気なままでいい」
と寛容した。
「いや、言い方……」
そんな2人のやり取りに。
ヴィオラは堪らず、ふふっと吹き出してしまう。
するとサイフォスも、その楽しそうな笑顔に堪らなく幸せを感じ……
ハハっ!と、噛み締めるように破顔した。
それを目にしたニケは、普段の冷淡な表情からは想像もつかない、サイフォスの屈託のない笑顔に面喰らっていた。
しかし、今の王宮では……
そんな2人の姿は、もう珍しいものではなく。
かつての冷酷な王太子の噂など、微塵も感じさせないほど。
そしてかつての悪妃だった事も、微塵も感じさせないほど。
いつも仲睦まじく笑い合う、2人の笑顔が溢れていた。
さらには、その数年後。
笑い合う笑顔の中には、可愛らしい天使たちの笑顔も加わっていたのだった。
fin
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