第一章 爆発オチの密室

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慌てたのはなぜか小倉だった。 「お、おい。さっきのは冗談だって!」 ■■■は、さあ始まりましたとばかりに、椅子の上でポップコーンを片手に映画を見る観客のポーズをしている。 「……そんなことを言い始めたのは誰だ? そこの■■■か?」 牛島は不愉快そうに、俺を見た。市村はぎょっとして、俺と牛島を交互に見ている。 「江藤の父親と母親を殺したのもお前だな、牛島」 俺がいうと、牛島はピクリとも動かなくなった。まるで彫像のように。 「何の証拠があって」 牛島が唇だけを動かして尋ねてきたので、俺はこう答えた。 「たった今、証拠ができたところだ」 「……どういうことだ?」 「市村。お前、さっき牛島と離れで何をしてきたんだ?」 「な、何って……」 俺が尋ねると、市村は答えた。 「もう一回検死をしてきたんだ。やっぱり江藤の体には何か所も刺し傷があった。普通じゃ考えられないから、睡眠薬が盛られたのかもしれない、でもたぶん警察が来れば全部わかるだろう……って」 「他には?」 「他? そうだな。凶器には鋭い刃物が使われているから、犯人は返り血を確実に浴びたはずだ。洗ったにせよ、コートを捨てたにせよ、それも警察が来ればわかるだろう、って話だった」 「そう、この事件、全て警察が来れば解決してしまうんだ」 俺が言うと、■■■が不安そうに尋ねてきた。 「あの、それって、探偵の存在意義を全否定してません?」 「だから、犯人は証拠を全て消すことにしたんだよ」 「証拠を全て消す!? そんなマジックショーみたいなこと、出来るはずないだろ」 小倉が言うので、俺は答えた。 「江藤の母親の事件を思い出してほしい。彼女はどうやって死んだ?」 俺が言うと、新聞記者の市村が答えた。 「確か火災で……って、まさか」 「そう。牛島、お前。さっき江藤の部屋に火をつけて来ただろう」
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