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「もう寝てください」
ため息のようにつぶやいて視線を向けたのはレースのカーテン。
四角い薄藍色の絵画に浮かぶ――青白い満月。
「月が綺麗だな。まやかしの月も愛情があれば本物の月になれるそうだ」
愛の告白を月に求めたのは漱石だったか。
「プロポーズみたいですよ」
「しまった。指輪を忘れた」
「――いりません。そんなことより早く治してください」
笑っていなす律に千秋は未練がましくつぶやいていたが――それもいつの間にか静かになっていた。
聞こえる寝息は緩やかだが、温かすぎる。
一方通行の愛情はまやかしの月。
凍った心を溶かす熱に律のまぶたが落ちた。
※※※
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
こちらL要素、とっても薄めで妄想致しました。 ( *´艸`)
「月が綺麗ですね」の月はまだ「まやかしの月」のようです、いつか本物の月になる日が来るのでしょうかねぇ (*´ω`*)
ままごとみたいな二人の後日は妄想していただけると嬉しいです。
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