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―――数週間後、魔王様謁見の間にて
「で、これができた兵器?」
「そうです。」
「ナカオー局長。私には液体のはいった霧吹きにしか見えないんだが?」
「そうです。」
「…局長?」
「経緯を説明します。」
新人たちの案で作成された毒霧は一定の効果があり、複数の部隊にダメージを与えることに成功しました。人間たちはどうして毒を取り込んだのかわからず、対策を練れずにいたそうです。ですが、すべての生物に効く毒のため、わが軍にも少々被害がでました。加えて散布した一帯の、人間よりも弱い動植物がみな死に絶えたので、人間が毒霧の正体に気づき、すぐ使い物にならなくなりました。
「…それで?」
「余った毒霧の原液処理に困っていると、ヒガシ君が『薄めて除草剤にすれば?』と発案してくれて。改良して仕上がったのがこちらの除草剤です。新緑の朝露の香り付きで、魔王国領でメガヒット中でございます。いやはや大成功ですな。」
「…ナカオー。」
「では私はこれで失礼します。いやー忙しい忙しい。」
すたこらさっさと謁見の間から局長は出て行った。
「おーい、霧吹きも持って帰ってくれーって、相変わらず逃げ足速いな。どうすんのこれ。………。」
魔王様は霧吹きを手に取った。
…プシュッ
「あ、めっちゃいい香り。」
後日、魔王様宅でも愛用される一品になりましたとさ。
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