怨念ドール

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―――――魔王様謁見の間にて  「それで、ミナミン。例の案件はどうなった?成功したとナカオーから聞いているが。」  「はい!ご報告させて頂きます。」  ヒガシ君の意志を取り込んだ合成魔人は破竹の勢いで王国軍を殲滅していきました。ヒガシ君の内部情報を元に、ニシ君の念話で細かな指示を通達することも可能で、前線軍司令部の急襲及び将官の暗殺、退路遮断に罠設置とやりたい放題できました。  「おおー!すごいじゃないか。」  「おかげで我々の前線軍全員が年内有給消化の見通しです。これはすごいことですよ。」  「ここ数年は消化率低くなってて心配してたんだけど、戦力としてだけでなく、労働環境改善にも繋がるとは…新人君たちには何か報酬考えとこうかな。」  「ありがとうございます。彼らの今後の励みになることでしょう。」  「そういえば王国の動きに変化があるようだが…何か知っているかい?」  「あー、はい。王国は帝国と軍事協定を結ぼうとしています。戦力低下が著しい王国軍の補助を帝国軍が担い、代わりに帝国の経済支援を王国が実施するようです。帝国は穀物流通が不安定になっており、国内で反体制派の勢力が拡大しつつあるようです。ですので今回の協定は互いに願ったり叶ったりの様で。」  「フーム。合成魔人の戦果が良すぎて、新たな勢力の参入を招いてしまうとは…。だが合成魔人があれば安泰ではあるか。」  「その、申し上げにくいのですが。」  「ん?」  「合成魔人はヒガシ君の王国への怨みが原動力のため、に絶大な効果がありますが、帝国軍にはいまいちのようで。帝国軍への戦闘には積極的ではなく、帝国軍にはまた別の兵器開発が必要です。」  「なかなか、全てが思うようにはいかないねぇ。今後の成果にも期待しているよ。」  「ありがとうございます!今後も精進してまいります。ニシの記憶が戻れば更なる強力な兵器開発ができることでしょう。」  「あーそれね、彼の記憶が戻ることはないよ。私が生きている間はね。」  「えっと、それはどういうことでしょうか。」  
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